歌でリニア問う〜阿智村の森田さん製作 疑問や思い込めたラップ〜
中日新聞 18面 2015.10.9
〽時速五百キロ名古屋も首都圏?(中略)採算度外視の速さよりも安さ 燃費に便利さ乗り心地安全性そして自然を壊さないこと大事じゃない? 南アルプスなどの自然環境に大きな影響をもたらしかねないリニア中央新幹線計画を、もう一度立ち止まって考えてみませんかー。阿智村智里の森田修史さん(38)が、こんな思いから、リニア沿線地域のアーティストらに呼び掛け、CD「夢のリニア超特急」を製作した。(石川由佳理) リニアをめぐっては、八月末には大鹿村の住民らが工事の中止を求める仮処分を名古屋地裁に申請。工事の本格化を前にあらためて環境面に関心が集まっている。 森田さんは東京でジャズサックス奏者として活動していたが、自然農法に興味を持って三年前に阿智村に移住、農業を始めた。 阿智村では、リニアのトンネルを掘るための斜坑(非常口)が造られる予定。村内の国道256号は、工事用車両が頻繁に行き交うことになる。 森田さんは当初、人ごとのように思っていたが、昨年秋、村内であったJR東海の住民説明会に出て「何かがおかしい」と感じた。「理解してほしいなら話し合いが必要なのに、その姿勢がない。質問回数は制限され、資料に書いてある言葉を繰り返すばかり」。リニアに関する本を読み、会合にも積極的に出るようになった。 難工事が予想される南アルプス堀削で湧き水などの危険はないのか、トンネル工事で出る残土をどう処理するのか、人口減の時代に本当にリニアが必要なのかー。賛成派にもけんか腰にならずに伝え、興味のない人にも考えてもらいたいと、音楽に行き着いた。